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プレスリリース「平成12年6月号 建材レポート」

産業廃棄物を利用し無焼成レンガ舗装材
亀井製陶が本格展開 再生原料比率80%

亀井製陶(社長・亀井宏明氏、本社・岐阜県土岐郡笠原町1258、電話0572-43-3511)は、下水道汚染焼却灰や石炭灰など各種産業廃棄物を原料にした無焼成レンガブロック事業を強化する。原料の80%が産業廃棄物を利用し、特殊固化技術により製品化したもので、無焼成でありながら焼き物のアンティークレンガの風合いを持ち、価格も安い。このため全国のホームセンターを通してガーデニング向けに売れているほか、岐阜、愛知を中心に自治体の受注が増え、現在フル稼動の月間1万m2を生産している。今後は提携工場にプラントを設置して、供給地域を広げていく考えだ。

特殊固化技術を利用し無焼成

亀井製陶は1956年に設立した床タイル専門メーカー。磁器質無釉床タイル「ランパートシリーズ」や透水・保水セラミックス舗装板「ふじシリーズ」などを製造・販売してきたが、1997年(平成9年)に産業廃棄物を有効利用したリサイクル舗装レンガブロック「アーザンブリックス・スクラッチシリーズ」を開発し市場投入した。現在はこのリサイクル舗装レンガブロックが同社の売り上げの50〜60%を占め、主力商品になっている。

「スクラッチシリーズ」は、下水道汚泥焼却灰、石炭灰などの各種廃棄物を新開発の特殊固化技術により成形した無焼成の舗装用レンガブロック。使用する廃棄物原料は下水道汚泥焼却灰(基本割合7%)、石炭灰(6%)、のほか、微小珪砂(キラ20%)、採石廃土(20%)、水滓スラグ(鉱滓20%)鋳物砂(4%)、PS灰(ペーパースラッジ3%)、粉砕くず(社内廃棄物3%)などで、これに要請によりガラスカレットも使用できる。これらの廃棄物に凝結材としてセメント(17%)や顔料、それに植生や住環境に好影響を与えるため、添加剤としてEMセラミックスを混ぜる。原料の80%が他産業から発生した廃棄物で、製造工程から出る不良品なども原料として再利用できる。製造方法は、原料に圧力をかけて混錬混合し、真空押出機に投入して原料を高密度化させて長四角形を作り、スクラッチ加工による独特な風合いを持たせた後、プレスによりブロック体に成形して、初期養生(約20時間)、本養生を行う。

下水汚泥を使用しているが、従来から持つ窯業技術で混錬し、特殊なセメント固化技術で硬化反応を行うことで、従来品と比べても品質のすぐれた無焼成のレンガをつくり出した。焼成しないほか、廃材も前処理なしで原料に使用できることから、余分な工程を省き、省コストを実現。また、無焼成でありながら焼き物の風合いを持ち、アンティークレンガを敷きつめたようなシックな仕上がりになる。舗装材としての強度も曲げ強さが6.2/N平方ミリメートル(インターロッキングブロック協会法)、圧縮強さが55.3N/平方ミリメートルと基準値を上回っている。耐摩耗性や滑り抵抗値なども通常の基準値以上の性能を持ち、滑りにくく、歩行感にすぐれる。有害物質の溶出といった安全性についても、厳しい環境基準をクリアしている。

サイズは198×98mm(100角二丁)と98×98mm(100角)の二種類で、厚さはいずれも60mm。通常タイプの「スクラッチ」と、機械を使って角を丸く仕上げた「スクラッチコボル」の2タイプを用意。標準色はスクラッチがアースカラー7色、コボルが4色と豊富なカラーをそろえている。設計価格はスクラッチがm2当たり4500円(中部地区の場合)、コボルが6000円で、舗装レンガとしては比較的安い。

月産1万m2でフル生産

レンガ舗装ブロック「スクラッチシリーズ」は、もともと同社の窯業廃棄物のリサイクルがきっかけで開発したものだが、その後、他産業の廃棄物を受け入れるとともに、販売先も拡げてきた。下水道汚泥焼却灰は高山市や関市、石炭灰が中部電力、水滓スラグがトヨタ自動車、鋳物砂がアイシン高丘、PS灰が富士製紙、トキワ、採石廃土が平田工業、微少珪砂が土本窯業などから受け入れている。下水道汚泥焼却灰はほかに岐阜市からも受け入れ可能で、名古屋市からの受け入れも検討している。

生産にあたっては96年8月に約2億5000万かけて、本社工場に月産50万個(1万m2)の生産設備を導入。月間1000トンの原料処理能力がある。

試験販売を経て、97年度5月から本格的に製造・販売を始めたが、環境・省資源という追い風を受けて徐々に需要が増え、99年度はエコマーク商品の認定を受けたこともあって、年間約9万m2を販売した。現在月間45万個からフル生産の50万個(1万m2)を製造・販売しており、2000年度では年間で11〜12万m2を見込んでいる。

売れ行きが好調なのは、スクラッチシリーズが環境に貢献するエコ商品であるほか、焼き物のアンティークレンガ風の外観を持つとともに価格が比較的安いためとみられる。

7割がホームセンターで販売

このため、全国のホームセンターを通して一般ユーザー向けにガーデニング用資材として販売しているが、最も売れ行きがよく、同製品販売量全体の約7割を占めている。そのほかは歩道、公園、商店街や学校、病院の外構舗装材などの工事物件で、地元の岐阜と愛知などの東海地区の自治体を中心に採用されている。特に、岐阜県では廃棄物リサイクル製品として認定を受けているため、優先的に採用されている。最近の主な施工例としては、岐阜県の各務ヶ原健康化学センター (施工面積629m2、99年6月納入)、岐阜市東金宝町舗道(1572m2、99年8月)、飛騨高山ビッグアリーナ(2800m2、99年11月)、愛知県の戸田川緑地公園(150m2、2000年1月)などがある。

ほかに大阪府、埼玉県、栃木県、長野県、山梨県や北海道でも採用実績があるが、生産拠点が岐阜県で輸送コストがかかるためそう多くはない。しかも本社工場がフル生産の状態で手一杯のため、今後、廃棄物排出地の提携工場にプラントを設置して、中部地区以外の地域にも拡大していく方向で現在検討している。

販売については全て同社の販売子会社、エコ・エンジェルズ(本社同)が発売元になって、レンガ、舗装材商社を通してホームセンターや大手建材店などに販売している。カーマ、バロー、TYK、揖斐川工業、日本興業、リョーワ、商建産業・テラダなど大手のレンガ・舗装材商社が扱っており、工事物件も手がけている。

(建材レポート 平成12年6月号)

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