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プレスリリース「日本のモノづくりはいつの時代も世界のお手本なんです」

ダムに漂着する
塵芥と土砂をリサイクルする
かんでんエルファーム 共生

地域密着・環境配慮型のリサイクルシステム

2000年1月、富山県東砺波郡に、「かんでんエルファーム」という廃棄物処理会社が誕生した。関西電力が推進する「かんでん起業チャレンジ制度」により設立された、同社のベンチャー企業第一号である。その事業は、ダムに漂着する流木や草葉などの塵芥を農業資材などにリサイクルすることで、天然木材資源の循環を図ること。

関西電力は、北陸支社管内に17のハイダムを有しているが、1998年の調査によると、約3400トンの塵芥が発生している。このような塵芥は従来ほとんど焼却処理されていたが、塵芥は年々増加傾向にあり、処理コストも増大している。塵芥の増加の背景には、森林従事者の減少による森林保全の停滞問題がある。また、かつては多くの人が働き、地域と密接な関係にあった水力発電所も、経営効率化の推進などから無人化が進み、地域との接点が次第になくなってきている。こうした背景から、環境配慮型のリサイクルシステムを確立し、流木や間伐材などの未利用天然木材資源を畜産敷料や土壌改良材として商品化することで、地域の農家などに還元しようという、「バイオリージョン(生命地域主義)構想」が打ち出されたのである。

資源循環の仕組みは、まず、ダムに漂着した塵芥を回収し、流木、草葉・剪定枝、生活廃棄物などに分別することから始まる。そして、生活廃棄物はゴミとして処理され、流木はおが粉に、草葉などはチップに加工。家畜用敷料「エルウッド」、堆肥用原料「エルチップ」、両者を混合して熟成させた土壌改良材「エルコンポ」などが商品化され、地元農家や園芸を楽しむ水系市民に利用されている。また、エルコンポには、買い受けた使用済みのエルウッドを混合するという、二次的なリサイクルも行われている。さらに、エルコンポに富山県内の酪農農家で製造された良質な堆肥を加え、熟成発酵させた培養土も商品化した。まさに、地域密着型の事業を展開しているのだ。

同社では廃棄物処理業者として、工場設備にも環境評価を行い、騒音、振動、悪臭、粉塵対策などを施している。そして同社のユニークな点は、独自に農場を持って有機野菜づくりを進めていることだ。農場では、自社の商品を使った土づくりが行われており、木材を土に還すというコンセプトで、安全性、環境へのやさしさを実証しているのである。

産業廃棄物を再利用した無焼成レンガブロック

かんでんエルファームの展開の裏にある理念は、自然との共生であり、地域との共生である。

2001年4月、その名も「共生」というベンチャーが産声を上げた。出資は、関西総合環境センター、近畿コンクリート工業、関西電力、亀井製陶の4社による。産業廃棄物のリサイクルを目的としており、窯業廃土や下水汚泥焼却灰、ガラスくずなどを再利用した「無焼成レンガブロック(商品名、アーザンブリックス)」の製造工場を兵庫県姫路市に建設中であり、10月に完成予定だ。

この無焼成レンガブロックは、岐阜県土岐郡笠原町の亀井製陶が1997年に開発したものである。土岐郡が位置する東濃地区は、美濃焼の産地であり、笠原町は国内有数のタイル産地として発展してきた。焼きものの産地では、河川上流での原料の採石により、流出した土で川が白濁するなどの環境問題が存在した。亀井製陶は、環境に対する配慮から、窯業廃土の利用研究を進め、この無焼成レンガブロックの商品化に行き着いたのである。無焼成による加工技術の確立は、窯業廃土だけではなく、前述した汚泥類やガラス陶磁器のくず、高炉スラグ、石炭灰など実に多様な産業廃棄物の再利用を可能にした。また、焼成しないことで、製造過程において二酸化炭素を発生しないという付加価値もついた。ガーデニング資材、公園の歩道や学校・病院の敷設材として、さまざまなところで利用されている。

関西電力グループでは、この商品に着目し、発電所のダム湖の汚泥、貝殻、建設廃材などのリサイクルを目的に、2000年から事業化の検討を推し進めてきた。ダム内水面に貯まる流木リサイクルの次に、ダム水面下に蓄積する土砂や汚泥の再原料化を構想したのだ。

リサイクル法の強化などで、産業廃棄物の再利用化は着実に進んではいる。しかし、一方でまだまだ行き場のない産業廃棄物はたくさん存在する。本業が生み出す廃棄物をいかに環境に優しく処理するか。どのような形で再生させ、地域社会にその価値を還元できるか。こうした課題を、河川水系の視点で事業化したところに、関西電力グループの先見性がある。ダムづくりのために築いてきた水系自治体とのネットワークに、リサイクル資源を逆還流させる同社の取り組みを大いに評価したい。

(日本のモノづくりはいつの時代も世界のお手本なんです。著者…赤池 学 発行所…株式会社ウェッジ より)

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