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プレスリリース「平成16年8月8日 岐阜新聞」

中国最前線 わが社の戦略 陶磁器メーカー亀井製陶
3市で合弁設立へ
世界規模で再資源化網

廃棄物を原料に、製陶の練り込み技術を生かして「無焼成レンガブロック」を製造している亀井製陶。同社は今月下旬にも、中国・審陽、鞍山、馬鞍山の3市に、現地の電力会社や製鉄会社と提携して合弁会社を設立する予定。「循環型社会の実現に向けて、世界規模での再資源化網の確立を目指している」と社長の亀井宏明(46)は、事業規模のさらなる拡大へ意欲をのぞかせる。

同社は1956(昭和31)年創業の陶磁器メーカー。当初は、タイルなどの陶磁器生産が主な事業だったが、97年に、窯業技術とセメントの固化技術によって「無焼成レンガブロック」の製品化に成功。窯業廃土をはじめ、下水汚泥焼却灰、石炭灰、ガラスくずなど原料の80%に廃棄物再生資材を使用。

県の廃棄物リサイクル認定製品に指定されたほか、同製法の特許を取得した。その後、関西電力や東京電力などと提携して兵庫県と茨城県に工場を設立。本社と併せて、国内三工場を拠点に、国内再資源化網の確率に成功した。

中国戦略へ踏み切るきっかけとなったのは、1997(平成9)年の地球温暖化京都会議で採択された京都議定書のCDM。CDMとは、二酸化炭素など温室ガスの排出削減義務のある先進国が途上国の削減事業に投資し、それによって生じた排出削減枠を得られるという制度。さらに、08年に開催される北京五輪へ向け、中国では都市基盤整備とともに環境対策が加速。行政、企業側からも、環境技術を熱望する声が多かったことも決断する上で"追い風"となった。中国でのレンガの消費量は年間約7200億個で、世界中のレンガ消費量の約50%を占める。中国では、農地を掘り起こしてレンガの原料を確保していたが、土地が荒廃してしまい、耕地面積が減ってしまうという問題が深刻化していた。

亀井は「廃棄物を原料とする無焼成レンガブロックをアピールするには絶好の機会」ととらえた。また「業界内だけでは、社会的認知は得られない。"地球環境を守る"という大儀に照らせば、間口を広げていかなければ」(亀井)と話すように、他業界からの廃棄物もリサイクルに活用。大手企業との提携に大きな期待を寄せている。合弁会社を立ち上げた電力会社や製鉄会社はいずれも、現地で社会性の高い企業だ。

中国国内三つの工場それぞれで、年間6000万個を製造目標とし、それに対応すべく生産ラインを立ち上げている。また、石材研磨の際の汚泥処理に困っていた泉州市内の石材加工会社と同様のプランを模索中。来年には工場を立ち上げる予定。亀井は、日本の石材の90%は中国から輸入されていることに着目し、同社と手を結んで石材輸入業も展開。着々と事業の幅を広げている。

「東濃から中部、中部から全国、全国から世界へ。まずは中国でできるだけ多くの生産ラインを立ち上げ、事業を成功させたい」と、世界規模での循環型リサイクルネットワークの構築へ向け、亀井は気を引き締める。

(平成16年8月8日 岐阜新聞)

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